パノラマ撮影の回転軸をノーダルポイントに合わせる話をしていて、赤道儀の極軸合わせを連想しました。そんな苦労をしなくてもデジタルカメラなら、スイングパノラマ(SONY)もあれば、アストロトレーサー(PENTAX)もあります。
もし、そうした機能がついたカメラを持っているなら、活用しないのはもったいないですね。
不幸なことにどちらも手元にない場合は、セオリーどおりの方法で撮ることになります。パノラマ写真の場合は、パソコンソフトで自動的に合成するものがあります。カメラのオマケでついていることもあるようです。
つなぎ目が自然に見えるパノラマ写真が欲しいなら、基本を忠実に守ったほうがキレイに仕上ります。大げさな装置を持ち歩くのは億劫だから、パノラマ写真を撮る機材の組み合わせを決めておくようお奨めします。
使う機材がいつも同じであれば、ノーダルポイントは一定です。可動部分が少ないと、取付金具の構造が簡素化できます。それ専用の取付金具をカメラバッグの片隅に入れておけば、いつでも本格的なパノラマ写真が撮影できます。
なるべく収差の少ないレンズを選びます。とくに歪曲収差と周辺光量低下が少ないレンズが向いています。一眼レフなら単焦点の標準レンズがいいでしょう。三脚に据えるし、ピントも露出もすべてマニュアルで固定だから、マウントアダプターを使うレンズでも構いません。
周辺光量の低下は、絞りこんだほうが改善されます。F11 か F16 に固定して、シャッター速度も一定にします。各コマの露出を同じにしないと、つないだ跡がはっきりわかって見苦しくなるからです。
専用ソフトで簡単に合成できるとはいえ、元のデータがきちんとしていないとよい結果は得られません。視差や歪みのないデータであれば、Photoshop など一般的な画像ソフトでも違和感のないパノラマ写真が得られます。
「酸化セリウム」の先生じゃないけど、シャッターを押す前に解決すべきことは、すべてやっておくのが基本でしょうね。